コラム

鹿革には推奨していない、
お手入れ用のクリームやワックスを使用してみる①

2021年1月15日

皆さま、こんにちは。鞄工房山本moriです。
今回は鹿革小物の気になる「お手入れ」についてのお話。

当店で販売している鹿革小物は顔料仕上げの鹿革を使用したIDカードケース以外、素仕上げの鹿革を使用しているため、革の表面についた汚れは乾いた柔らかい布で乾拭きをしていただくようご案内しており、シミや色ムラの原因になりやすいお手入れ用のクリームやワックスの使用は推奨しておりません。でも、本当にそうなのか…?汚れが気になる方にオススメできるアイテムはないのか、ちょっと気になり実験してみました。

使用したのは6種類のお手入れ用クリームやオイル、ワックス。

メンテナンスクリーム

画像左から、レザープロテクションクリーム、鹿革専用ワックス「Wax of the DeerSkin」、真ん中から上がミンクオイルとラナパー、真ん中から下がヌメ革クリームとモイスチャークリーム。 それぞれ実際に指で触ってみたところ、左側の2つとヌメ革クリームは水分が多く、ミンクオイルやモイスチャークリームは油分が多い印象です。

例えば、スキンケア用品でいうと、鹿革専用ワックス「Wax of the DeerSkin」が化粧水、レザープロテクションクリームが乳液、ヌメ革クリームが保湿ミルクのようなテクスチャー。踵など乾燥しやすいところをしっかり保湿してくれそうなのがその他クリームといったイメージです。一部ご紹介しますね。

<ミンクオイル>
「ミンク」というイタチ化の動物から取れる脂肪と、ろうや流動パラフィンを固めて作ったクリーム。色は違いますが、見た目や触感はラードのような印象。

ミンクオイル

<モイスチャークリーム>
皮革によくなじみ、潤いを与えるホホバオイルとラノリン、ミネラルオイルなどを配合したクリーム。すごく伸びがよく、油分たっぷりな印象。

モイスチャークリーム

<鹿革専用ワックス「Wax of the DeerSkin」>
皮革保護・汚れ落とし効果のある液体タイプの皮革用メンテナンスワックスです。革の繊維にしなやかな弾力性を与えることができます。

鹿革専用ワックス

商品ページはこちらから 鹿革専用ワックス「Wax of the DeerSkin」

ちなみに、鹿革専用ワックス「Wax of the DeerSkin」は防汚移染処理(素仕上げの製品の表面にコーティングを施す処理方法)をした鹿革にのみおすすめしており、シミや色ムラになりやすい素仕上げの鹿革には推奨していません。ですが、今回はあえて、どうなるのか検証してみたいと思います!

素仕上げと顔料仕上げとは?

検証の前に、まずは素仕上げと顔料仕上げについてご紹介。

顔料仕上げの鹿革と素仕上げの鹿革

<顔料仕上げ> 画像左
合成樹脂の仕上げ剤を含む塗料液で革を仕上げる方法のこと。 革の表面をコーティングするため、傷や汚れがつきにくく丈夫になりますが、顔料を多く使用するほど、革本来の風合いは感じられにくくなります。

<素仕上げ> 画像右
革を鞣す際の仕上げ工程で、全くあるいはほとんど顔料を使用しない方法のこと。 革本来の風合いを楽しむことができますが、顔料仕上げの革に比べると汚れや傷がつきやすくなります。

今回の検証では「素仕上げの鹿革」と「顔料仕上げの鹿革」、それから店頭サンプル品の「名刺入れ」を使用します。ちなみに、こちらは店頭サンプル品の名刺入れ(素仕上げの鹿革)。

店頭サンプル品の名刺入れ

店頭サンプル品の名刺入れ

さて、検証開始!<1日目>

まずは、素仕上げと顔料仕上げの鹿革に6種のお手入れ用クリーム等を塗ってみました。 水分の多いさらっとした液体の鹿革専用ワックス「Wax of the DeerSkin」は布に吹き付けてから、その他のクリームも布に少量とってから鹿革になじませます。 特に油分の多いミンクオイルやモイスチャークリームは少量でかなり伸びるので、注意しながら薄く伸ばしていきます。

素仕上げの鹿革

<塗布直後>
お手入れ用クリームやワックスを塗った箇所がしっかり分かるくらいシミになっています。

塗布直後、素仕上げの鹿革

<1時間後>
ほんの少しだけ薄くなった?ような気も…??

塗布1時間後、素仕上げの鹿革


顔料仕上げの鹿革

<塗布直後>
クリームやワックスの油分でテカリがあり、塗布した箇所がなんとなく分かりますが、一番最初に塗った左上のレザープロテクションクリームは早くも乾きはじめています。

塗布直後、顔料上げの鹿革

<1時間後>
まだ油分のテカリがありますが、最初から変化のあったレザープロテクションクリームはもちろん、その他のクリームも1時間でかなり乾いてきました。

塗布1時間後、顔料仕上げの鹿革


店頭サンプル品の名刺入れ(素仕上げ)

こちらは鹿革専用ワックス「Wax of the DeerSkin」のみで実験。

<塗布直後>
均一になるよう柔らかな布で全体に塗り拡げてみました。 が、右側の赤胴色は塗りムラができてしましました。。。どうか、シミになりませんように!

塗布直後の名刺入れ

<5分後>
染色されている名刺入れは、素材そのものの鹿革と比べてワックスの乾きも早い気がします。 赤胴色の塗りムラは少し残っていますが、たった5分ですでに馴染んできているような?左側の黄金色はムラにもシミにもならず、綺麗に乾き始めています。

塗布5分後の名刺入れ

<1時間後>
内側はフラップ側にはワックスを使用せず、ロゴの入ったポケット側にのみワックスを塗りました。 ワックスを使用した箇所のほうが少し色が濃くなっているのが分かるでしょうか? ワックス自体もほとんど乾いている様子でしたが、鹿革のもっちり柔らかな質感は感じられなくなってしまいました。

塗布1時間後の名刺入れ

検証<2日目>

素仕上げの鹿革

残念ながら完全には乾ききらず…。 特に油分が多いミンクオイルとモイスチャークリームはほんの少しだけシミが薄くなったのですが、ほぼ変化なし。 その他は全体的に少し乾いてシミが薄くなってきています。画像では分かりにくいかもしれませんが、1日目と比べると、特に左下のヌメ革クリームの変化が大きく感じました。 ですが、名刺入れでは乾きの早かった鹿革専用ワックス「Wax of the DeerSkin」は、なかなか大きな変化が感じれず。

塗布2日目の素仕上げの鹿革


顔料仕上げの鹿革

真ん中の鹿革専用ワックス「Wax of the DeerSkin」とモイスチャークリーム、ラナパーあたりが完全ではありませんが、塗布した箇所が分からないほど、ほとんど乾いてきました。

塗布2日目顔料仕上げの鹿革


店頭サンプル品の名刺入れ(素仕上げ)

完全に乾いて、色味も検証初日よりかなり落ち着いた印象。失敗したかと思われた赤胴色の名刺入れの塗りムラもそこまで目立たず。ほっとひと安心。笑

塗布2日目の名刺入れ

塗布2日目の名刺入れアップ

この先の変化が気になるところですが、長くなってしまったので今回はここまで。 お手入れ用のクリームやワックス、スプレーといろいろ試してみましたが、どうなるでしょう??? 顔料仕上げの鹿革はどのお手入れアイテムでも問題なく使用できそうな予感。 素仕上げの鹿革がどれも乾かないのでは?とちょっと不安ですが…。しばらく観察しながら、次回のブログで検証結果をご報告しますね。