コラム

味わい長持ち、コンパクトコーマの泉州帆布。

2019/10/07

帆布製品

泉州帆布の三層ショルダーバッグ

こんにちは、革と帆布のかばん専門店 香久山鞄店のスタッフよちこです。

今回の鞄コラムは、泉州(大阪府南部)の帆布工場で織り上げた「ご当地帆布」をご紹介いたします。その名も泉州帆布。センシュウハンプ、と読みます。なんだか『先週のジャンプ』みたいな語感ですが、由緒正しき日本の帆布です。

130年以上の歴史がある和泉(いずみ)木綿。

帆布ショルダーバッグ

泉州エリアは古くから木綿の生産と紡績が盛んな地域です。なんと130年以上の歴史があり、和泉(いずみ)木綿と言う名前でブランド化されています。

この和泉木綿、高級タオルの素材としてよく使われているそうです。高級タオルってどんなものかといえば、たとえば高級ホテルのバスルームにある、あのふわふわっとした純白のタオルとかですよ。わがやのタオルなんて、見た目はボロボロ、薄くてザラザラ。からだを拭こうものなら引っかかって痛いし、雑巾寸前、いやもう雑巾です。もはやタオルとしてのアイデンティティが失われた、崖っぷちホテルならぬ、崖っぷちタオルですから、同じタオルでもえらい違いです。

わがやのボロタオルはさておき、泉州高級タオル(贈答用)に使われる20番手のコンパクトコーマ糸を使用し、通常の帆布の倍の撚糸をかけて、泉州の専用帆布工場で織り上げたのが泉州帆布です。

泉州帆布、こだわりの作り方。

泉州帆布の三層ショルダーバッグ

帆布のバッグは使っていくと、だんだん毛羽(けば)立ってきます。毛羽立った帆布は、なんだかボンヤリと白っぽく見えます。帆布にとって宿命ともいえる毛羽立ち。泉州帆布は、この毛羽立ちを抑え、撚糸(ねんし)のツヤと光沢感が持続する生地で作った特注帆布です。サラリと書きましたが、これってメチャクチャすごいんじゃないだろうか。

コーマの力たくわえて。コーマ糸。

帆布ショルダーバッグ,コーマ糸

コーマとは、combと書きます。コムブってなんやねんと思ったら、なんのことはない、櫛(くし、コーム)のことでした。m+bっていまだにピンとこない。climbとかね、頭の中で「ブ」が入るんですよ。

糸を作るためには、紡(つむ)ぎといって綿をできるだけ細く細くねじっていくわけなんですけど、その作業では繊維の長いものと短いものが混在してしまいます。せっかくなら長いものだけを使いたいのが人情ですから、短い繊維はできることなら除去したい。またその後には繊維を平行に引き揃える工程があり、ここでも短い繊維を取り除いたうえ、繊維の平行度もしっかり出しておきたいわけです。そのためコーマ加工という方法で、繊維を文字通り、櫛でけずる加工をほどこします。

コーマ加工によって綿糸の短い未熟部分が、だいたい15~20%ほど取り除かれます。こうすることで通常よりも遥かに締まった糸になり、かすかな光沢さえも生まれます。また繊維の平行度も増しているため、糸の切断強度も上がります。素材レベルとしては、毛羽立ちにくくなり、肌触りも向上、染色における発色も抜群と、とにかくいいことづくめ。要は、糸の品質をより良くするためのひと手間なんですが、短い繊維を削った分、通常の織り方と比べると20%減量になるので、コーマ糸は高級な糸といえます。

コンパクト加工糸。

コンパクト加工糸

糸を紡いでいく紡績では、延伸(えんしん、撚りを加えながら細く伸ばしていく)と呼ばれる工程がありますが、この工程では、ある程度の毛羽立ちが生じます。この際、コンパクト加工という加工法で毛羽が表側に出ないように内部に織り込んでしまうことで、通常の糸と比較して格段に毛羽立ちが少なくなります。

コンパクト加工というのは、21世紀になってできた新しい紡績技術です。21世紀って、いまだに近未来のような気がしてしまいますけど、昭和のSFでよく描かれていた、あの全身タイツスーツがトレンドになる日は来るんだろうか。

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