皆様こんにちは、鞄工房山本の晴之です。
前回は L ファスナー小銭入れの作り方をちらっとお見せしました!
革を裁断した断面の仕上げ方の違いとか、キザミまたは菊寄せと呼ばれる職人技とか、捻引きという影の立役者とか。詳しくは前回記事をご覧ください!
そちらを読んでからの方が今回の記事も読みやすいかと!
★過去のブログはこちらから
「鹿革製小銭入れの作り方~ヘリ返しとキザミと捻引き~」
鞄工房山本の小銭入れは L ファスナーだけではございません、あのまるくてかわいらしいコインポーチがございます!本日はそっちが主役。
コインポーチの作り方を少しだけお披露目します!
鹿革製品の仕上げはヘリ返し
前回記事でも触れましたが鞄工房山本の鹿革製品は革の断面にニスを塗って仕上げるコバ塗り仕上げに不向きなため、ヘリ返し仕上げ、
もしくは両面ヘリ返しで作っています。
Lファスナー小銭入れも、
名刺入れも、
束入れも、
ブックカバーも。
コバ塗りにもチャレンジしているのですが、革が柔らかすぎて断面を磨いたり断面にコバを塗ったりすることが非常に難しいのです。
うまくいく方法を模索中です!成功すればコバ塗り仕上げの鹿革製品を作ることができるかも!
ということで、ついこの間までは仕上げ方は一貫してヘリ返しだったのですが、そこに異端児コインポーチが登場したのです!
「袋縫い」のコインポーチ
ヘリ返しでもコバ塗りでもない仕上げ方に「袋縫い」というものがあります。財布などの革小物よりもバッグに多く使われる手法です。
簡単に説明すると、全体を裏返しの状態でまとめておき、仕上げに袋の口になるところから全体を引っ張り出してひっくり返すのです。
口で説明しても伝わりにくいと思うので、その様子を実際に見てみましょう。
これが裏返しでまとめた状態。本来小銭を取り出す口から小銭入れ自体を取り出します!もちろん手作業、仕上げハンドメイドです。
押したり、
引いたりして少しずつ表革を返していきます。
少しずつ表返ってきました。簡単そうに見えて簡単じゃないこの作業。ただ力任せに引っ張り出すだけではないのです。
付けてあるイタリーホックで革を傷つけないように、革にシワが極力出ないようにしながら細心の注意をはらって返します。
特に角はあの丸みを出すために、指を上手く使って形を整えます。道具は使いません。
ここまでくるとあと少し! 最後まで気を抜かずに……
かわいらしいフォルムになるように微調整をして……
完成!袋縫いにすることでミシン目が隠れ、ふっくらとした仕上がりになります。コインポーチのまんまるなボリューム感はこの仕上げ方からきていたのですね。
鹿革の柔らかさを生かすにはぴったりな製法なのでした!
作り方の違いがデザインの違いを生みます。皆様はどんなかたちの革製品がお好きですか?鞄工房山本はこれからも色々な作り方を追求していきます!
それによって、たくさんの種類のアイテムを生み出せますからね!
コインポーチは奈良本店、銀座店、表参道店、Web サイトで発売中!L ファスナー小銭入れは7月中旬販売開始予定です!
Lファスナーが登場することでコインポーチの人気がどうなるのか見ものです。コインケース争いの栄冠はどちらに!
(左から)
コインポーチ | 赤銅色 | 5,900円(税別) |
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L ファスナー小銭入れ | 茜色 | 15,000円(税別) |
鞄工房山本 晴之