こんにちは。革と帆布のかばん専門店 香久山鞄店スタッフのよちこです。

「なんで、いつもこれになっちゃうのかなぁ……でも好き。」

気がついたら、いつもコイツに手が伸びている。平凡だけど、ずっと使える非凡なショルダーバッグ。そんな永遠の定番になりうるロウビキパラフィン加工の帆布ショルダーバッグは、当店でも定番の人気アイテムとなっております。

帆布ショルダーバッグ

このバッグ、もともとは旧サイトから通算10年以上ずっと売り続けてますが、ずっと使えることまちがいなしのバッグ。今回の鞄コラムでは、このロウビキ帆布ショルダーバッグの人気の秘密を解き明かします。

極薄の帆布、79A(ナナキュウ・エー)

帆布のベースは79Aと呼ばれる特殊な厚みの帆布を使用しております。本来、帆布は旧JIS規格の綿帆布規格に定めるところによれば11号帆布が最薄となります。この11号よりもさらに薄いのが79Aです。規格外の帆布、薄いとはいえ帆布。キャンバスやオックス生地よりは遥かに丈夫なので、薄さと丈夫さが必要な場合には最適の帆布といえます。

驚くべき撥水(はっすい)性。

パラフィン加工

ショルダーバッグを日常的に使っていれば、ときには雨の日、雪の日に使うこともあろうと思います。また飲み物をうっかりこぼすなんてこともあろうと思います。こんなこともあろうとロウビキパラフィンシリーズは、水濡れにも強くしておいたんだ。いざって時に、この撥水性はきっと役に立ちます。

ロウビキ帆布の構造

ロウビキパラフィン帆布は、染色層+目止め防水層+パラフィン加工層による3層構造を作り出すことにより、生地に染み込むことなく水分を撥水します。上の画像で凄さだけは伝わるのではないかと思います。パラフィン加工による撥水はアナログ的なので、じつは撥水性の復元すらも可能です。ご自身でロウソクを塗って布あてアイロン5秒だけ。これだけで1コンテンツは作れてしまいそうなので今回は省略。次の機会に譲りたいと思います。

経年変化が楽しめるブラックの金具。

帆布ショルダーバッグ・ネイビー

ダールを使用しています。単にダールとかダールブラックとか呼ばれておりますが、このダールめっき、もったりとした黒色クロメートとか光沢感のある黒ニッケルとはだいぶ質感が違います。強いて言えば黒染めのジャリジャリした雰囲気に近いのですが、黒染めとは膜厚も質感も明らかに違うので、いったいこのめっきは何者なんだろうか。

めっきマニアでなければついていけない話題になりつつあるので、いったんこのあたりで打ち切るとして、このダール金具、どこまでも漆黒の深みと独特のムラ感があります。バッグによく用いられているアンティークゴールド(EB)系とはまったくちがう、シックな経年変化してくれますよ。真鍮の金具にはもう飽きたよ! って方にはおすすめです。

ダール金具

金具自体のデザインにもちょっと注目してください。こちらは一般的なナスカンではなく、バネナスカンまたは犬ナスと呼ばれるちょっと珍しい金具です。犬を繋ぎ止めるから犬ナス(カン)ではないかと思うのですが、本来の用途は船舶の索具(船のロープとか、網とか)に関係する部品のハズです。40年くらい前の話で恐縮ですが、近所の秋田犬とかの大型犬の首にたらーんとぶら下がっていた記憶があります。いずれにせよ、このバネバネした機械的な構造と鉄分たっぷりの無骨さは、男ゴコロをくすぐります。使っていくと地金の胴が見えてくるのがまた渋い!

一番人気はネイビーです。

帆布ショルダーバッグ・ネイビー

ロウビキパラフィンの人気色はネイビー。ロウビキパラフィンのネイビーは先染めしたオリーブドラブの下色を内包することで淡い微妙なトーンが生じており、なんとも粋な色合いです。ここまでネイビーを押しといてなんですが、ガンガン使い込んだ末にたどり着くワーカーズテイストな雰囲気を出すなら、ベージュ、グレーの色がなんとも様になります。