2019年6月18日(2020年10月8日更新)

トートバッグ

皆様こんにちは。鞄工房山本です。不安定な天候が続くこの時期に合わせて、前回は雨にあったときの革製品のお手入れ方法をご紹介しました。

ゲリラ豪雨の日の空

(そういえば少し前に、工房と本店/事務所のある橿原市は晴れても雨でも空がきれい、と書きました。
これはつい最近ゲリラ豪雨のあった日の不思議な空模様です)

今回は前回に引き続き、バッグを使用しない時期の保管方法をご説明します。と、いうわけで鞄工房山本ブランドのオリジナルビジネスバッグ特集15です。

革のバッグを美しく保管する方法

ノートパソコンを収納できるPCポケットが付いていたり、収納力はもちろん機能性にもこだわった便利で使える鞄工房山本の大人のビジネスバッグ。
メンズ・レディース問わずユニセックスにお選びいただけ、ビジネスシーンだけでなくプライベートでも活躍する使い勝手の良い牛革のbagなので、
もちろん毎日使っていただきたいですが、ビジネスパーソンと同じくビジネスバッグも適度にお休みしたほうが、お仕事で全力を出せます。
というわけで、使用しない日にご自分のバッグを効果的に休ませる方法をご紹介しましょう。

1. バッグの中身を出す

毎日通勤で使用されているビジネスマンの方は、a4サイズの書類やファイル、小物など普段はバッグの内側に荷物を入れっぱなしにされている方が
多いかもしれませんが、可能な限りたまの日には荷物をすっかり出してあげて、バッグの下の方やポケットの中に溜まったゴミ、
ホコリをきれいに丁寧に取り除くようにしましょう。普段目が届かない分、意外なくらい汚れが溜まっているものですよ。

2. 形を整えて、(あれば)アンコをいれる

アンコって聞かれたことはおありでしょうか? 間違えても、小豆をお砂糖と煮込んだアンコのことではありません!って、ご存知ですよね。
新聞紙や硬すぎない紙を丸めて、バッグの形状に合わせて形作った詰め物のことをアンコと言います。
新聞紙がむき出しだとインクのカラーが内装に色移りするかもしれませんので、一番外側は無地の紙にしてください。

トートバッグ

(右手の白い物体がアンコです。ひとつで作らなくても、2つ、3つと分かれても構いません)

高温多湿の環境を革は嫌います。と言っても、乾燥しすぎるのも良くないのですが、日本国内でこの季節であれば、まずは高温多湿のほうが心配です。
バッグのポケットに顆粒の乾燥剤を入れるのも有効なようです。ただし、使用開始後にゼリー状になったり、水分を溜め込むタイプのものは厳禁です。
それ自体がシミ・変色や革の質感を変えてしまうおそれがあります。革がややパサパサして乾燥しているようなら、皮革用クリームを塗っておくのもいいでしょう。

3. 風通しの良い、直射日光の当たらない場所に置く

空気がこもっていたり、日差しが直接当たったりする環境は革にとって過酷です。
革の品質が損なわれ、湿気が原因でカビが生えたり、長く日光にさらされて退色したり、過度に乾燥してパリパリになったりしてしまいます。
バッグを保管する際はできるだけ「風通しの良い、直射日光の当たらない場所」に置いてあげてください。

また、バッグをクローゼットなどへ長期間保管する場合は、不織布や布の袋に入れておくことをおすすめします。
なぜかと言うと、クローゼットにレザートートなど革のバッグを保管する場合、他にもきっといろいろなものが入っています。
誤ってバッグを引っ掻いたり、キズがついたりしないとは限りません。袋に入れておけば、そんな事故から大切なバッグを守ることができます。

ただし、絶対の絶対に、バッグをビニール袋やナイロン素材の袋には入れないでください
空気がこもってしまい、革の変質を招くだけでなく、高温多湿の環境ではコバに塗ったニスが溶けて他の部分を汚してしまうことさえあります。
(わたしはコバ同士がくっついた可哀想な事例を見たことがあります。ビニール袋保管がキライなのは、エナメルの革だけではないのです)

保管袋

ただし、布の袋に入れたとしても、たまにはクローゼットから出して湿気を飛ばしてあげることをお忘れなく。
そのときも、風通しの良い直射日光のあたらないところに置くことがポイントです。

4. 保管時は「アタリ」がつかないように

保管時にお気をつけいただきたいもう一つのこと。それが「アタリ」です。

革に何らかのものが押し付けられて付いてしまった跡のことを「アタリ」といいます。
鞄工房山本のビジネスtote(トート)に関して特にお気をつけいただきたいのはこちらです。
このハンドル(持ち手)、パタンと倒せば省スペースなのですが、倒したまま本体のボディと触れた状態で力がかかると、持ち手の跡が胴に描かれてしまいます。
こんなふうに。

ビジネストートイラスト

笑顔はどなたも素敵に見せますが、ここはご遠慮いただきたい。というわけで、どうしても持ち手を倒して収納したい場合は、
厚紙を持ち手と本体の間に挟むことをおすすめします。厚紙自体のアタリがつかないよう、固さやサイズも念の為お気を付けください。

高さが出てスペースを取ることになりますが、一番確実なのは、持ち手を立てたまま保管することです。
スペースの都合で持ち手を倒される場合は、くれぐれもお気を付けください!

ひと手間かけて、時間も日常もこころ豊かに過ごすことと、革製品の関係

いかがでしょうか。「そんなん面倒くさいわ~」、と思われたら……そのひと手間を楽しんでみるのはいかがでしょう。
手間のかかることにはそれなりに理由がある。手編みのセーターは温かくて美しい、都度挽く豆で入れたコーヒーはおいしい、
顆粒だしじゃなくていりこを一晩水に浸して採ったお出汁のほうがおいしい。あれ、何の話でしたっけ。
えーと。

水田

(農業も、手間をかけてより美味しいものを作るという意味では通じるものが。
田植えが行われたばかりの水田に空と雲が映っている魅力的な風景を見るのは最近見つけた楽しみ)

鞄工房山本こだわりの上品で高級感のあるBCシリーズは、シンプルなデザインとカラーで男性・女性問わずお使いいただける人気の逸品。
スタイルを選ばず十分な容量と優れた機能性を持ったビジネスバッグは、スーツだけでなくカジュアルなファッションにもぴったり。
普段愛用されているお手持ちの腕時計やベルトなどの革小物、コートやジャケット、ネクタイなどに合わせて選ぶのもおしゃれでおすすめです。
また、使い込むほどに光沢が増し、革の独特の風合いや雰囲気を味わいなど、経年変化も楽しめるのもレザーバッグの魅力のひとつ。
大切にお手入れしながら長く使って欲しい逸品です。

以上ビジネスバッグ特集15でした。今回の革製品の保管編は参考になりましたでしょうか?
革のバッグのお手入れのプロセスを楽しむようになれば、ご自身のバッグを育てることにもなります。
それに実は、購入時の新品の状態よりも、「ちょっと年季の入ったほうが味があってカッコいいバッグ」となるためには、もとよりいい素材を使って、
しっかりと作られている必要があります。ここはぜひ、お手入れする値打ちがあると思って、いつも以上にひと手間かけてみてください。
最近頻繁に耳にする革の「エイジング」は、「良い形で」歳を取るということでなければ意味がない。

と、前回のブライドルレザーのお話に続いて、なんだか力説してしまいました。

鞄工房山本 二見