こんにちは、革と帆布のかばん専門店 香久山鞄店スタッフのよちこです。
鞄の作り方といっても鞄によってもいろいろ、製造する職場さんによってもいろいろあります。今回は鞄の中でも「メンズバッグ」の王道アイテム「ダレスバッグ」がどうやって作られるのかを追っかけてみたいと思います。
「さぁ、いっちょうブワーッといくか!」
革を形にする。
スパイには7つ道具があるように、鞄作りにも専用の道具がございます。
そういや昔、スパイ手帳ってのがありました。高くて買えないから自作してたっけ。ま、スパイ手帳の話はさておいて、鞄作り7つ道具をご紹介いたしたいと思います。
- 革包丁…革を切るのに使います。カッターを使う職人もいます。そこは自由ですよ。
- 豆鉋…金を包むと書いてカンナです。使い方構造は大工道具のやつと同じです。
- 金槌…「唐紙槌」という槌です。ふすまを作るときに建具屋さんが使うものを流用。
- けずりぶし…みたいに見えますが革の削りカスです。かつお節だよ人生は。
…けずりぶしを入れても4つしかねぇ。
やっとこやっとこ組み立てる。
鞄作りの道具、5つめ登場。やっとこでパーツを押さえて組みつけます。
やっとこは、接着剤を塗った部分をよりしっかり接着させるために使われる道具で、画像ではバッグの角部分に重ねた革を本体ごと押さえ込んでいます。
「そんなもん接着剤でもペターっと塗ったらしまいやで」
とおっしゃるかもしれませんが、どっこいそうはいかねぇんだ。
というのも接着剤ってやつは単に塗っただけではくっつきにくいからです。
じゃあどうすんのかというと接着剤を塗ってから、この「やっとこ」で挟んで親の仇だとばかりに締め上げるのであります。こうして人外の圧力を加えることで革の密着性が高まり、より早く接着するんでガンス。フンガー。
このやっとこ、本来は口金を押さえて潰すための道具ですが、1つあれば鞄作りの様々な場面で役に立つので見かけによらず便利な工具ですよ。
ミシンがけ。
鞄作りの道具6つめは職場の花形、ミシンです。革製品の縫製には工業用ミシンというものを使います。家庭用のへなちょこミシンとは比べ物にならないほどの圧倒的パワーで、馬力がちゃいまっせ。その作動音はズダダダダッ!という擬音がピッタリ当てはまります。機銃掃射であります。
画像のミシンは「腕ミシン」です。台座が筒状に突き出しているのが特徴です。手前/奥/側面に空いたスペースを生かして、平ミシン(テーブルになっているふつうの)では縫えない立体的なモノ、形状が複雑なモノを縫うことができます。
それって、つまり鞄!
腕ミシンは台座部分が筒型形状で不安定なので、きれいにまっすぐ縫うのが難しいのです。使いこなすには熟練が必要な職人用のミシンです。職場でも腕利きの職人さんが担当していると思っておけばまちがいないかも。
さて鞄作りの工程まだまだ続きますが、今回はここまで。お楽しみはこれからだ!(次回に続く)