こんにちは、革と帆布のかばん専門店 香久山鞄店のスタッフよちこです。
2015年に発売以来、ロングセラーとなっている帆布ショルダーバッグ、ポケットミニショルダーバッグ OB_KBNY3400の誕生秘話について語ってみたいと思います。
始まりは、バッグを持たない男性のためのバッグ。
ポケットみたいに使えるショルダーバッグ。
この商品を企画するにあたって、まず最初に考えたのは、バッグを持たない男性のためのバッグというコンセプトでした。当時、男性にはボディバッグが人気で、ある意味それが答えの1つではあるけれど、できればボディバッグとは別の提案を得意とするショルダーバッグでやってみたかったのです。
大事なものは、ズボンのポケットに。
前ポケットか、後ろポケットか。どっちでもいいか。
最小限のものが収納できるミニサイズのショルダーバッグという漠然としたイメージに、あともうちょっとだけ宙返り的な発想が欲しいところでした。
そこで、通勤中やお店に訪れる男性をずっと観察しておりましたところ、バッグを持たない男性諸兄はズボンのポケットに物を入れて持ち運んでいるという衝撃の事実に気がつきました。
男性のポケット=バッグなのか?
四次元ポケットではないけど、何でも突っ込むんですね。
最初はびっくりしました。だって、ズボンのポケットですよ。さほどものが入らないと思われるあのスペースに、スマホ、ハンカチ、お財布、車のキー、タバコにライター、小銭など。ついには、おつまみ(柿の種)まで入れる猛者まで現れました。あとは缶ビールがあれば、ソロでお花見ができそう。よくもあれだけ突っ込めるものだと、ちょっと感心してしまいました。カーゴパンツのポケットなら6つあるから、缶ビールも収まりそうです。
ポケットのようなバッグを目指してみた。
ポケットがバッグで、バッグがポケットで。
それじゃあ、ポケットみたいに使えるショルダーバッグを作っちゃえ、ってことでデザインしたのが本製品なわけです。とはいえ、ただのポケットに紐をつけてもなんの感動も面白さもないので、小さいポケットにたくさん詰め込むという点に着目し、ミニショルダーなんだけど、見た目以上にたくさん入るように設計しました。この設計コンセプトはまだ他の商品に展開させてないので、いずれ大きいサイズのショルダーとか、リュックとかも作ってみたいと思っています。そう思ってはや4年だよ。そろそろ作ったらどうですか。
収まりのよさと収納性を兼ね備えたデザイン。
ブカブカなバッグは嫌なのです。
たくさん収納できるといっても、ブカブカしたバッグは嫌だったので、コンパクトにスッキリ収まりよく収まることを意識しました。なので極端に底マチ偏重型の三角形デザインなのです。え、どこが三角形だって?
横からだと二等辺三角形です。
天面はマチ幅0です。もはや面ではなく線の領域。
ハードなのにソフトタッチな素材感。
そんなに固くならないでもいいよ。
当時の帆布は、赤さび染めや備長炭染めなどふんわりソフトな路線が主流だったのですが、本製品からあえてハードな素材感を強く意識しました。でもカチンコチンなのはバッグとしては少々使いにくいので、セルラーゼ酵素でワンウォッシュをかけております。メンズ向けということを意識して、ややハードめな素材セレクトだったのですが、おかげでフニャフニにならず、しっかりしたフォルムを作ることができました。
今では女性にも人気のミニショルダーです。
ちょっとゆるめだけど芯はしっかりしたポケットミニショルダーバッグ OB_KBNY3400です。webサイトが香久山鞄店としてリニューアルしてからは男性だけでなく、女性のお客様にもご好評いただいております。変に甘くないところが、かえって良いのだろうか。次は狙って作ってみたいところです。