皆様こんにちは。鞄工房山本の二見です。
昨日の王子のブログでは、鹿革18色目の「銀鼠」を取り上げました。
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最後のお色「銀鼠」。これで鞄工房山本の鹿革製品18色勢揃いです!
派手さは無くとも、趣のある美しい色なのでもう少し能書きを付け加えてみます。
カードも、発売日の3/16(土)に間に合いました。ふう。
鞄工房山本の鹿革18色は、アイデアソースとして日本の伝統色を参考にしました。色味然り、名前然り。
銀鼠は、このカードにもお書きしたように江戸時代から親しまれて来た色です。いまはどうかというと……
地味とは限らない、現代の鼠色
先日、外出先のモニターでケーブルテレビが流れていて、トム・クルーズの「ミッション・インポッシブル」をやっていました(シリーズ何作目かは知りません)。途中からなのと、アクション映画になると内容に全くついていけない自分のせいで(汗)、話はわからなかったのですが、トム・クルーズのスーツの色とフィット具合だけやたら頭に残りました。
まさしく、鈍く光るグレー、銀鼠だったのです。あの光沢、シルクなのでしょうか。
今や、スーパーヒーローも着る色なのですね。
そして、フィットのパッツンパッツンなこと。それで動き回って、なんで破れへんねんやろう。と思うほどです。ストレッチなのか?
もちろん、私達の鹿革の銀鼠は本当に光沢があるわけではありません。銀を「感じる」色合い、なので、あくまで、飽きの来ない、普段遣いに適した色です。スーパーヒーロー以外の、市井の方に日常的につかっていただきたい。
色の名前と動物
銀鼠、ときいてもうひとつ、色に名前を使われている大きすぎない動物を思い出しました。
モグラです。
モグラ色、日本語では聞き慣れませんが「Taupe(トープ)」ならきかれた方もたくさんおられることでしょう。早い話がベージュ・グレー、じゃない、「グレージュ」と縮めて言うこともあるので、「グレーベージュ」が正しそうです。
銀鼠(Silver Grey)もTaupe も、定番で、男女の隔たりなく人気のある色です。どちらかというと高級なイメージもあります。
2Dで表すとこうなります。
動物から来ている色の名前って、考えてみると少ないですね。
まずは、身近に居ないと色のイメージが湧かない。鼠色じゃなく、サイ色と呼ぶのは、動物園が全国に出来ないと無理な話です。現代なら、革の色やペンキの色で鼠色を「エレファント」と名付けている海外のメーカーはありますが、日本で昔から親しまれる名前にはなりようがない。
試しに、日本の伝統色から、名前に使われている動物を調べてみました。
ネズ公に置き換えると、
山鳩色
鶯(うぐいす)色
真鴨色
紺鳶
玉虫色
海老茶(動物、ですよね。)
このへんが身近な動物で、
孔雀緑
孔雀青
今鶴羽 (いまつるは)
あたりは、高貴な鳥でも、よく知られていて色の雰囲気が伝わる、ということでしょうか。
え?なんですって?
今日はネズミばっかりで、鹿はどこ行ったもうたん?
しかもどんな動物でも、ネズミになってもうてるやん?
鹿は本日はお休みを頂いております(本当です)。
そして、私の画力では全種類の動物を描き分けられず……。
他に動物が関連した名前で興味深いのは
猩々緋(しょうじょうひ)
です。中国の伝説上の動物(猿のような)の、更に血の色。
こうしてみていると、「思いっきり身近な動物の、身近な色」OR「想像力をかきたてられる高貴な動物の、印象的な色」という両極端ですね。
よくよく考えたら、動物の大半は茶系なので、ネズミの鼠色は、地味でも「動物の色」としては少数派。鼠色から派生した色もたくさんあって、みたびチュー太郎で表すと、
昔よくきいた
溝鼠(どぶねずみ)
いや、昔の話とはいえ、失礼な言い方でしたね。身を粉にして働く人達を、ドブネズミだなんて!いまやシックな色です。
不思議なところでは
鳩羽鼠(はとばねず)は、鳩の背中の色だそうです。確かに。
背中といえば、もうひとり有名な背中を持つ動物がいました。
シルバーバック。
すげーインパクトで、今回のブログが全部飲み込まれそうなので、敢えて画像は掲載しません。最後まで読んでから、検索してみて下さい。
脱線はここまでにして、何が言いたかったかというと、「身近かつシックな色」として、ネズミたちは、色の名前として取り上げられる運命だったようです。
え? また、なんですって?
タイトルの grey とgray の違いは何?
カードには、私達はgrey と書いています。 eを使うのがイギリス綴、a ならアメリカ綴と聞いております。
本当にちょっとしたことなのですけれど、この粋な色にはそういうヒネリがあったほうが、大人っぽくて、スパイシーで似合うかな、と思ったわけです。
ネズミという動物は嫌われることも多いですが、ペットとして定着しているハムスターや世界の恋人ミッ◯ーマウスの例をみても、好かれる場合はめっちゃ好かれます。
というわけで、鹿革色の銀鼠も皆様に愛される色になりますように。
鞄工房山本 二見