皆様こんにちは、鞄工房山本の晴之です。
鞄工房山本の革製品 Web サイトオープン予定の 1/28(月)まで、残すところ6日となりました。
ブログを見ながら、どのアイテムにしようかな、と選んでいる方がいてくだされば本望です。
店頭販売を始めたときからのシリーズである鹿革製品、非常に貴重な存在です。ただでさえあまり見かけない鹿革ですが、一般的な鹿革製品と異なるところ、それは「素仕上げ」にこだわっているという点。
「素仕上げ」とは、革の表面に顔料を載せていない、いわば革を鞣したあとにお化粧を施していない状態です。そのため革としてはややデリケートになるのですが、当店はそこにこだわりました。
ということで、今回は鹿革という素材と素仕上げという仕上げ方に焦点を当てました。
今回はこの3つのテーマについてお話しましょう。
当店がどうして「素仕上げ」にこだわっているか
当店で扱っている「鹿革」という素材は古くから日本で親しまれてきた皮革であり、1300年以上前につくられたと見られる正倉院所蔵の宝物にも使用されました(例えば履物の内張りなど)。驚くべきことは、鞣されてから千年以上経っているその鹿革が、現在もある程度の形を残し、しかも柔軟性を保っているということです。
昔の人々がそれを知った上で鹿革を使用していたのかはわかりません。ですが、その確かな丈夫さには目を見張るものがあります。
また、一度皆様に持っていただければご理解いただけると思うのですが、鹿革の肌触りも、他の革には代えがたい特長です。
触った瞬間に手に吸い付くようなしっとりとなめらかな手触り。我々は初めて鹿革に触れた時、「この触感を多くの人に伝えたい」と強く感じました。それほど、鹿革の格別な感触に感動を覚えたのです。
もちろん顔料仕上げで出る革の表情も素敵なのですが、どうしてもツルッとした手触りになり、我々が皆様に届けたいものとは異なりました。しかし、顔料仕上げにも良い点はもちろんあるので、そちらの革はその良さを活かせるアイテムに今後使おうと思います。
つまり、「鹿革本来の風合いを直に味わっていただきたい」という鞄工房山本のまっすぐな思いを伝える方法が素仕上げだったのです。
当店三人目の美人スタッフもその手触りを味わっています。
素仕上げのメリット・デメリット
先程も述べたように、素仕上げは革にお化粧をしていない状態です。ですので、鹿が生きていた時にできたシワやスジなどが革の表面に表れていることがあります。それも自然の素材の味としてお楽しみいただけると幸いです。
また、一般的な牛革やコードバンなどに比べて「比較的」キズや汚れがつきやすいのも、素仕上げである鹿革の特長です。水滴でもシミになる恐れがあるので、ご注意ください。
これは決して扱いづらい革ということではなく、牛のヌメ革と同じように扱っていただければと思います。例えば、ランドセルの「リベルタ」や、香久山鞄店で取り扱っている「【総革・総ヌメ】サドルレザーの二つ折り財布」に使っている革が牛のヌメ革です。これらも他の牛革やコードバンに比べるとキズや汚れはつきやすいですが、その革の質感にファンは多くいらっしゃいます。
使っているうちにつくキズや汚れも、革製品の味わいの一つと捉えていただければ幸いです。
ランドセル | リベルタ(デニム調・紺) | 79,000円(税込) |
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香久山鞄店 | 【総革・総ヌメ】サドルレザーの 二つ折り財布(ベージュ) |
28,080円(税込) |
※ランドセルは鞄工房山本各ショールームで展示中です。3月半ばより全国で展示会を開催しますので、そちらにも是非お立ち寄りください。展示会は予約制で、2月1日より予約受付を開始いたします。
それとは裏腹に銀面(革の表皮)がデリケートな素材ですので、メンテナンス用品の使用はオススメしておりません。防汚効果はあるのですが、革の色が濃くなったり、ムラになったりと、鹿革の風合いを損ねる可能性があるからです。大切に使用していただくことが一番のメンテナンスになります。
実は、当店スタッフで鹿革製品にクリームを使用している者がいます。彼曰く、「色合いはやや濃くなったがムラにはなっていない」とのことでした。このように、鹿革に対して問題なくクリーム等を使用できているケースもあるのですが、「どのような場合にも問題が起こらない」ことを保証できるわけではありませんので、当店としては「クリーム等の使用を推奨しない」ということにさせていただいています。
このように、普通の牛革よりはやや気を遣う当店の鹿革ですが、その触り心地は一級品です。我々は鹿革のその点に惚れ込み、皆様に自信を持ってご紹介したいと思ったのです。柔らかく、しっとりと手に吸い付くような手触りを是非お店でご体験ください。
★過去のブログはこちらから
大和三山は天香具山のふもとにある、鞄工房山本奈良本店のご紹介
画像少なめで、少し長くなってしまいました。
「3. 鹿革製品をお求めになる方への新しい提案」のお話はまた次回に持ち越しましょう。
鞄工房山本 晴之