こんにちは、革と帆布のかばん専門店 香久山鞄店のスタッフよちこです。
今日の鞄コラムは、A4サイズのショルダーバッグについて。
A4ショルダーバッグの始まりは公用文書がA4になったときから
A4サイズのショルダーバッグがいつ頃から登場したのかははっきりと分かりませんが、1つのターニングポイントとして考えられるのが、1993年4月1日です。この日は官公庁や自治体などで用いられる公用文書の規格をすべてA判とすべし、という通達がされた記念すべき日。
そんなこんなでA4サイズを収納できるバッグの需要がにわかに急上昇、「おっ、そろそろ出番か」という感じで、気がつけばビジネスバッグのメインストリームにのし上がってた感があります。
さてA4サイズが入るショルダーバッグ、黎明期にはビジネスバッグのカテゴリーとして存在していました。ブリーフケースにオマケのショルダーベルトが付いていて、斜めがけも可能。飲んだ帰りはこちらでどうぞという、アフター5支援型・2WAYスタイルです。このおかげで電車内にカバンを忘れるお父さんたちが減ったかどうかはわかりませんが、「このバッグ、ショルダーベルト付いてますか?」というお問い合わせを、当時は毎日のようにいただきました。
A4サイズ対応ショルダーバッグ、縦と横どっちがいいのか。
それではショルダーバッグ、縦と横どっちがいいのでしょうか。横型ショルダーバッグは、中身が横並びに収納できるので中身がわかりやすく整理できます。また底が浅いので、中身がすばやく取り出せるという利点があります。
縦型ショルダーバッグは、縦に長い長尺モノの収納に優れます。ペットボトルなどを横にするのはちょっと不安ですから、縦にそのまま収納できるのは安心です。
収納面では甲乙つけがたし。デザインとなると事情が変わります。縦型でA4対応サイズにした場合、外寸で縦幅31cmは欲しい。33cmともなれば、かなりの縦長シルエットになるため、数値以上にバッグが大きく見えてしまうという問題が生じます。
では、A4サイズの縦形ショルダーバッグは淘汰されるべき存在なのでしょうか。と思いきや、そうでもない。お客様のご要望から、意外な事実が浮かび上がってまいりました。
A4を縦向きに収納したい!というお客様の声、その理由。
じつはA4縦型ショルダーバッグならではのビジネス用途があるんです。それは、公文書のフォーマットは縦向き ということ。え、何のことかさっぱりだって。ではご説明いたしましょう。
縦向きに作成された書類を官公庁などの窓口で授受される場合、横型のバッグだと出し入れの際には90度くるっと回転させなければいけません。これが縦形ショルダーバッグだと、そのまま1発でスッと取り出せるうえ、バッグをどこかに置く必要がないので、肩にかけたままワンアクションで書類の出し入れができるのであります。
お客様いわく、公文書の取り交わしを頻繁に行うため、一日中、官公庁/自治体に出たり入ったり。書類を申請したり、受け取ったりの繰り返しですから、このアドバンテージは計り知れないとのこと。
A4書類がスムーズに出し入れできる!驚異の縦方向ドローイング!重要書類を入れても安心のロック機能付き!しかもできるだけコンパクトでスタイリッシュなサイズを実現。そんな公文書エキスパート専用・縦形ショルダーバッグ、あると思いますね。ちょっと作りたくなってきました。